Wilhelm Kage


Wilhelm Kåge(ヴィルヘルム・コーゲ)~グスタフスベリ製の陶磁器

ヴィルヘルム・コーゲ(Wilhelm Kåge)(1889年~1960年)は輝かしい20世紀スウェーデンの陶芸界でも最もよく知られたデザイナーの一人です。彼は1930年代~40年代にグスタフスベリのアートリーダーを務めており、スウェーデンモダニズム芸術の父とも呼ばれています。コーゲの作品はスウェーデン国立美術館に展示されています。ヴィルヘルムのデザインの中からあなたのお気に入りを見つけるたり、彼の伝記を読んでもっと知識を深めたりしてください。





ヴィルヘルム・コーゲについて

青年時代

ヴィルヘルム・コーゲ(Wilhelm Kage)(1889~1960年)はスウェーデンの首都ストックホルムで生まれ育ちました。彼はスウェーデン国立ストックホルム美術工芸デザイン大学で絵画を学びました。彼はミュンヘンで研究を続け、イラストレーターとしてのスキルを完成させました。第一次世界大戦中、スウェーデン国内で彼は、そのカラフルな劇場、宝くじ、展覧会用のポスターで名を馳せました。

Wilhelm Kage Kåge poster
左右の画像:ヴィルヘルムのポスターの例、1910年代。 中央の画像:グスタフスベリでキャリアを開始したヴィルヘルム。

ヴィルヘルムのポスターアートはグスタフスベリ社に注目されました。同社はその製品に関心を呼び起こすような、新しいアイデアを持ったアーティストを探したいと考えていました。ヴィルヘルムは陶土、ろくろ、艶出しでの経験が不足していたにもかかわらず、そのオファーを受け入れました。彼の仕事は、工場の機能項目に芸術的なタッチを加えることでした。ヴィルヘルムへの工場の賭けは、大きな見返りを得ることになりました。

Wilhelm Kage Kåge tableware Liljebla Liljeblå
左の画像:Liljeblaの食器シリーズ。 右の画像:花瓶を検査するヴィルヘルム。

陶芸へのデビュー

1年以内に、ヴィルヘルム・コーゲは機能的なテーブルサーブシリーズ「Liljebla」(リリー・ブルー)を制作しました。 流れる青い装飾を施したこのフォルムは、シンプルでありながら、18世紀のスウェーデンの陶芸を連想させるものでした。 このテーブルウェアシリーズは、1917年のリリエバルク展覧会で成功をおさめました。この展覧会は、現代のスウェーデンの芸術産業の発祥の地として知られています。 美しくありながらも実用的な家の装飾を制作するために、芸術家と産業が一致団結したのはこれが初めてでした。展覧会の後、ヴィルヘルムはグスタフスベリのアートリーダーに任命されました。

Wilhelm Kage Kåge table ware Grå rand Gray stripes
左の画像:プレートを飾るヴィルヘルム。 右の画像:1945年に発売されたグレーのストライプの食器。

機能主義の誕生

1920年代と1930年代の間に、ヴィルヘルム・コーゲは約30種類の食器セットをデザインしました。シリーズは、合理的な生産と多機能部品に関する機能主義的なアイデアを追求しました。ヴィルヘルムの最も人気のある食器シリーズは、1945年の「Gra rander」(グレーのストライプ)でした。それは「柔らかなフォルムの食器」として賞賛され、20年以上にわたり商業的成功を収めました。

Wilhelm Kage Kåge Argenta
左の画像:典型的な銀の装飾を施したArgentaの壷。 右の画像:思索にふけるヴィルヘルム。

色あせないアルジェンタ

1920年代、ヴィルヘルムは1930年のストックホルム展で普及したアルジェンタシリーズを制作しました。このシリーズは、特徴的な緑釉を用いた薬鉢、ボウル、花瓶で構成されています。作品には、ドラゴン、花、踊る女性達の飾りが銀で施されています。アルジェンタは最初、燧石で製造されましたが、後にストーンウェアで製造されました。

Wilhelm Kage Kåge Farsta
左の画像:厚い釉薬を試しているヴィルヘルム。 右の画像:特徴的で豊富な釉薬を持つファルスタの花瓶。

特徴的なファルスタ・シリーズ

ヴィルヘルムは、1930年のストックホルム展で、最も高級な陶芸作品であるファルスタを発表しました。ファルスタ・セットの範囲は、小型から大規模までの幅広さが顕著です。 花瓶や壷、彫刻、灰皿、高さ50センチの作品があり、それらすべてに明らかに質の高さが感じられます。作品には「ファルスタ」と刻印されています。

Wilhelm Kage Kåge Farsta
左の画像:うす釉のファルスタボウル。 右の画像:特徴的な白いコートのヴィルヘルム。

ファルスタ・セットは特殊セラミック技術を使用して作られました。焼成した作品を、粘土の中に注入した金属酸化物を含む溶液槽に浸します。その後、作品は釉薬を施され、再度焼成されます。釉薬に素晴らしい色彩効果を有する層状のテクスチャーを与えるために、 酸化物は熱によって引き出されます。この作品はスウェーデンの陶磁器界で高級品とみなされています。

Wilhelm Kage Kåge carrara vase
左の画像:グスタフスベリで写真を撮るヴィルヘルム。 右の画像:1934年のカララシリーズからの円柱のマットホワイトの花瓶。

スティグ・リンドベリとの協力

1930年代後半、ヴィルヘルムは若き達人スティグ・リンドベリに感銘を受けました。若き天才は、すぐにグスタフスベリで壮大な描写テクニックと豊かで新鮮なアイデアを見せてくれました。ヴィルヘルムはスティグに芸術的自由を与えながら、工場でより顕著な役割を果たすための道を開きました。

Wilhelm Kage Kåge vase
左の画像:1940年代の花瓶。右の画像:主要陶芸家であるベルント・フリーベリ、希望の星であるスティグ・リンドベリと協力するヴィルヘルム。

ヴィルヘルムとスティグは、1930年代後半から1940年代初めにかけて、多様で幅広いファイアンス焼の製品を共同開発しました。花瓶、皿、ボウルは、赤い陶器から成り、乳白釉で覆われており、大胆な色彩と手の込んだ装飾が施されています。1940年代の花のモチーフは、1950年代から1960年代には型にはまらない幾何学的装飾へとゆっくり移行しました。ファイアンスシリーズは大成功をおさめ、依然としてスウェーデン・ミッドセンチュリーのデザインの中で、最も有名なシンボルの1つです。

Wilhelm Kage Kåge våga vaga vase
左の画像:釉薬がかかっていないファルスタの花瓶を調べるヴィルヘルム。 右の画像:ヴェガシリーズから生まれた有機的造形の白い花瓶、1936年。

グスタフスベリ・スタジオの誕生

ヴィルヘルム・コーゲは、1942年にグスタフスベリにおいて陶芸工場の創造的な中心部になるであろうグスタフスベリ・スタジオを創設しました。高級なシリーズはグスタフスベリ・スタジオで、別の色で刻印されていました。ヴィルヘルムは主に茶色で刻印を入れました。

Wilhelm Kage Kåge Farsta vase
左の画像:円錐形のファルスタ花瓶。 右の画像:グスタフスベリスタジオのウィルヘルム。

晩年

1949年、ヴィルヘルムは芸術監督の職務を、同僚のスティグ・リンドベリに譲りました。 彼は1960年のに亡くなるまで、グスタフスベリ・スタジオで仕事を続けました。彼は40年以上にわたって、20世紀スタイルのトレンドの潮流の波を乗り切り、現代へと同社の舵取りをした、グスタフスベリの陶芸の王として記憶されています。

ビデオ

ヴィルヘルム・コーゲのファルスタ釉のアートウェア

このビデオでは、ヴィルヘルム・コーゲ(Wilhelm Kage)が艶出しの技術、ファルスタ釉や、焼成した作品を発表しています。グスタフスベリ・スタジオでの作業を短いシーンで見せています。


グスタフスベリのヴィルヘルム・コーゲとスティグ・リンドベリ

このビデオではスティグ・リンドベリとヴィルヘルム・コーゲがファイアンス焼きのアートウェアを装飾しています。 おそらく1940年代初め。