Upsala-Ekeby(ウプサラエクビー)のスウェーデンの陶磁器

1885年の創立後、ウプサラエクビーはスウェーデンの陶器メーカーとして業界を牽引しました。時を超えて、ウプサラエクビーとそこで活躍したデザイナーたちは数多くの素晴らしい陶器とテーブルウェアを生み出し、今でも世界中の人々の心を捉えて離しません。あなたのお気に入りのウプサラエクビーの逸品を是非見つけてみてくださいね!



ウプサラエクビーの歴史
-スウェーデンの独創的な陶器メーカー


ウプサラエクビーの創業

 ウプサラエクビーは1885年にスウェーデンの郊外でフォンバール家(von Bahr)によって創業を開始しました。この場所で創業したのは、タイル制作に欠かせない粘土がこの土地で取れるからでした。当初、レンガだけを扱っていたウプサラエクビーですが、その後、壁のタイル、暖炉、テーブルウェア、陶磁器等、取り扱い製品の数を増やしていきました。創業一年目は財政的に厳しい状況に置かれたものの、その後改善し、1910年代の終わりまでには300人の従業員を雇うなど、北欧でもその分野においては有数の企業となりました。当初の製品については、まだ実用性や装飾性がそれほど伴っておらず、製品の多くは外国のものをしばしばコピーしたようなものでした。

Upsala-Ekeby workshop in the early 20th century.

20世紀初頭のウプサラエクビーの工房

Masonry heater from the early 20th Century in a modern home

20世紀初頭の現代的なスウェーデンの家庭における暖炉

デザイナーの雇用

1920年頃、ウプサラエクビーは自社のデザインのレベルを向上させるため、デザイナーを雇い始めることにしました。1925年のパリでの世界的展示会においてスウェーデンの実用的なデザインが国際的にも認められ評価されたのですが、その時点ではウプサラエクビーがその恩恵を受けることはなく、1930年代に後半になってやっとウプサラエクビーは認知されたのでした。その後数十年に渡り、ウプサラエクビーはスウェーデンのインテリアデザイン業界で輝かしい功績を残したのです。


Prominent Upsala-Ekeby artists in the 1950s. From left to right: Ingrid Atterberg, Taisto Kaasinen, Hjördis Oldfors, Mari Simmulson, Viking Göransson, and Sven Erik Skawonius
1950年代のウプサラエクビーのデザイナーたち。左から順に:イングリッド・アッターボリ、タイスト・カーシネン、ヨールデイス・オールドフォーシュ、マリ・シムルソン、ヴァイキング・ゴラッソン、スヴェン・エリック・スカウォニウス

1930年代とアンナ・リサ・トムソン

1930年代の当時、アンナ・リサ・トムソン(Anna-Lisa Thomson、1905-1952)は工房を牽引するデザイナーとして活躍していました。彼女の作品は革新的で、新しい素材や装飾的な技術に果敢に挑戦し、シンプルで美しい形を活かしたフォルムが、彼女の特徴的なスタイルとなりました。彼女の作品はしばしば自然や水といったものにインスピレーションを受けています。

Anna-Lisa Thomson displaying pottery in the Upsala-Ekeby show room in the late 1930s

1930年代後半、ウプサラエクビーのショールームで自身の作品を陳列するアンナ・リサ・トムソン

Early 1940s vase with water theme in relief

1940年代初期、水をテーマに製作した花瓶

イングリッド・アッターボリとエキゾチシズム

 1950年代の異国文化への関心は、ウプサラエクビーの作品にも見られるようになり、形や装飾、シリーズ名にまで及びました。イングリッド・アッターボリ(Ingrid Atterberg、1920-2008)が製作した”ネグロ(Negro)”シリーズはその影響を受けた代表的な作品と言えます。マンガンの粘土と白い装飾が特徴的なこのシリーズは、陶磁器のコレクターの間で人気の作品となっています。

Ingrid Atterberg Negro

1953年のネグロ(Negro)シリーズの花瓶

Ingrid Atterberg

1950年代のイングリッド・アッターボリ

ドロシー・クラフと愛らしいネコたち

 1950年代にウプサラエクビーは全てのサイズ、形、装飾について手作業でのペイントを施す作品を制作し始めました。その当時の最も突出したデザイナーの一人にイギリス生まれのドロシー・クラフ(Dorothy Clough、1930-)がいました。彼女の有名な作品として、独特の表現を施した愛らしいネコたちがいます。ニャーオ!

Dorothy Clough

1950年代のドロシー・クラフ

Dorothy Clough modernistic cats

1950年代に製作された愛らしいネコの作品たち

ヨールデイス・オールドフォーシュと幾何学的装飾

 ウプサラエクビーのシリーズ作品ではしばしば幾何学的な装飾が見られましたが、特にそれはヨールデイス・オールドフォーシュ(Hjordis Oldfors、1920-2014)の作品に顕著でした。彼女は幾何学的パターンや装飾を好み、しばしば柔らかいフォルムを活かした陶器と組み合わせて製作しました。パターンや装飾は美的観点のみを追求しただけでなく、実用的な側面もあわせもっていました。それらは成形過程でできた花瓶の接合箇所を効果的に隠しています。

Hjördis Oldfors vase with geometric décor

1960年代のEdfuシリーズの幾何学的パターンの花瓶

Hjördis Oldfors

1950年代のヨールデイス・オールドフォーシュ

魅惑的な女性の世界-マリ・シムルソン

1950年代、60年代のウプサラエクビーでは多くの女性デザイナーが活躍していました。その中にいたマリ・シムルソン(Mari Simmulson、1911-2000)は多くの作品で女性を表現しました。作品の中の女性たちはしばしば、深いまぶたの後ろにアーモンド形の目で描かれ、遊び心のあるカラフルな色とは対照的に、思いやり深く表現されています。マリ・シムルソンの世界では明と暗、笑いと厳粛さ、といった両極端にあるものが同時に存在しているのです。

Mari Simmulson

1950年代、一点ものの彫刻と写るマリ・シムルソン

Mari Simmulson woman motif

1950年代の女性をモチーフにしたお皿

黄金時代の終焉

 ウプサラエクビーは1930年代から1960年代にかけて、短くはあるものの輝かしい一時代を築きました。1960年代後半頃からは、国際的な競争に晒されたこともあり、売り上げが減少し、1970年代には工場の規模を縮小しました。そして1978年にはとうとう閉鎖するまでに追い込まれたのです。しかし今なおウプサラエクビーの作品は、多くのファンやコレクターを魅了して止まないのです。